『スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー』
エクストリーム
エクストリームの3rdアルバム『スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー』(1992年)は、バンドの音楽的な野心と成熟を示す一枚です。このアルバムでは、これまでのファンクメタルにとどまらず、プログレッシブロックやクラシックの要素を大胆に取り入れ、複雑で多層的な楽曲が展開されています。エクストリームが単なるハードロックバンドではなく、深い音楽性と独自のアートビジョンを持つアーティストであることを証明する作品です。
アルバムは「Warheads」で力強くスタートします。この楽曲は、政治的なメッセージを込めた歌詞とともに、重厚なギターリフとダイナミックなアレンジが特徴です。ヌーノ・ベッテンコートのギターは攻撃的でありながらも緻密に計算されており、ゲイリー・シェローンの情熱的なボーカルが楽曲をさらに引き立てています。
アルバムの中心に位置する「Rest in Peace」は、シングルとしてリリースされ、商業的にも成功を収めました。この曲は、エクストリームのメロディメーカーとしての才能を存分に発揮しており、キャッチーなメロディと力強いメッセージが融合しています。ベッテンコートのギターソロは特に印象的で、曲全体に深い感情を注ぎ込んでいます。
「Tragic Comic」は、アコースティックギターを主体とした軽快な楽曲で、エクストリームのユーモラスで軽妙な一面を垣間見ることができます。この曲では、ストーリーテリングの巧みさと、彼らのポップセンスが際立っています。一方で「Cupid’s Dead」は、複雑なリズムとラップ風のボーカルを組み合わせた意欲的な楽曲で、バンドの多様性を示しています。
アルバムの後半では、3部構成の壮大な組曲「Everything Under the Sun」が展開されます。「Rise ’n Shine」「Am I Ever Gonna Change」「Who Cares?」の3曲で構成されたこのセクションは、クラシック音楽やプログレッシブロックの影響を強く感じさせるものです。ここでは、ベッテンコートの作曲技術が特に際立ち、ドラマチックで感動的な音楽体験を提供します。この組曲は、アルバム全体のハイライトであり、エクストリームの音楽的な到達点を象徴しています。
『スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー』は、バンドが新たな音楽的領域を探求しながらも、キャッチーで感情豊かな楽曲を提供することに成功した作品です。その結果、エクストリームは単なるファンクメタルの枠を超えた存在として評価されました。このアルバムは、彼らのキャリアの中でも特に評価が高く、リスナーにとっても聴き応えのある一枚となっています。
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