『オープン・アップ・アンド・セイ…AHH!』
ポイズン
ポイズンの2枚目のスタジオアルバム『オープン・アップ・アンド・セイ…AHH!』(1988年)は、彼らのキャリアの中でも最も成功した作品の一つであり、80年代のグラムメタルシーンをさらに強固なものにしました。このアルバムは、前作『ルック・ホワット・ザ・キャット・ドラッグド・イン』の成功を受け、ポイズンが一層成熟した音楽性と、より洗練されたプロダクションを見せた作品です。派手でキャッチーなメロディ、エネルギッシュな演奏、そして何よりもポップで親しみやすいロックサウンドが、彼らをメインストリームに押し上げました。
最も有名な曲の一つである「Every Rose Has Its Thorn」は、パワーバラードの名曲として広く知られています。この楽曲は、ポイズンの荒々しいロックンロールの側面とは対照的な、感傷的で心に響く一面を披露しており、ブレット・マイケルズの歌唱が特に印象的です。彼が自身の失恋経験から生み出した歌詞は、多くのリスナーに共感を呼び、この曲はポイズン初の全米No.1シングルとなりました。アコースティックギターを中心としたシンプルなアレンジが、楽曲の持つメッセージをより引き立てています。
一方、アルバムのオープニングトラック「Love on the Rocks」は、ポイズンらしいパーティーロックナンバーであり、勢いのあるギターリフとキャッチーなコーラスが印象的です。この曲は、彼らが持つエネルギッシュで生き生きとしたパフォーマンスの象徴ともいえる楽曲で、CC・デヴィルのギターソロが冴えわたる瞬間もあり、アルバム全体のトーンを早々に盛り上げます。
続いて「Nothin’ But a Good Time」は、ポイズンの代表曲の一つとして今でも愛されています。この曲は、タイトル通り「ただただ楽しもう」というメッセージが込められており、派手なロックサウンドとポップなメロディが絶妙に融合しています。特にCC・デヴィルのギターリフとブリッジ部分のギターソロは、シンプルながらもキャッチーで、リスナーを魅了する要素が詰まっています。リリース当時、この曲はMTVでも頻繁に流され、彼らの名声を確固たるものにしました。
「Your Mama Don’t Dance」もアルバムのハイライトの一つです。この曲は、1970年代のロギンス&メッシーナによるヒット曲のカバーであり、ポイズン流のアレンジが加えられ、ロックとロカビリーの要素がミックスされた楽しい一曲です。オリジナルの軽快なムードをそのままに、よりハードなギターサウンドを加えたこのカバーは、バンドの多様な音楽的ルーツを感じさせる仕上がりとなっています。
また、「Fallen Angel」は、都会に出てきた若者の成功と挫折を描いた歌詞が印象的な楽曲です。この曲のポップなメロディとドライブ感あるリズムは、アルバム全体の中でも特にリスナーにアピールする要素が強く、シングルとしてもヒットしました。ここでもCC・デヴィルのギターが光り、軽快なリフとソロが楽曲を引き立てています。
『オープン・アップ・アンド・セイ…AHH!』は、全体的にキャッチーで耳に残る楽曲が多く、80年代のグラムメタルの黄金期を象徴する作品です。彼らのデビューアルバムと比べると、サウンド面での洗練度が増し、楽曲のアレンジやプロダクションもよりクリアで緻密になっています。その一方で、ポイズンの持つパーティー精神や、ロックンロールの楽しさは失われることなく、むしろそれが強調されています。
このアルバムの成功の背景には、彼らの音楽が持つ「楽しさ」と「親しみやすさ」がありました。派手なルックスやメイクで注目を集めつつも、その裏にはキャッチーでよく練られた楽曲があり、それが多くのリスナーを惹きつけました。特に、アルバムを通して一貫しているのは、「楽しむことを忘れない」というメッセージであり、ポイズンの音楽が持つポップセンスとエネルギーが、シーンを超えて愛され続ける理由の一つです。
総じて、『オープン・アップ・アンド・セイ…AHH!』は、ポイズンがグラムメタルのトップバンドとしての地位を確立した作品であり、彼らの楽曲が80年代のロックシーンに与えた影響を象徴するアルバムです。派手なビジュアルだけでなく、音楽的にも一貫したテーマとポップでキャッチーなメロディを持ち、リスナーを楽しませることを何よりも大切にしたこのアルバムは、グラムメタルファンにとって必聴の一枚です。
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