【アルバム紹介】『エクストリーム』(『Extreme』) 

『エクストリーム』
エクストリーム

エクストリームのセルフタイトルデビューアルバム『エクストリーム』(1989年)は、ファンクとメタルを融合させた独自のスタイルを打ち出し、後にバンドを象徴するエネルギッシュでメロディックなサウンドの基礎を築いた作品です。このアルバムは、彼らの音楽的なポテンシャルを存分に発揮し、特にギタリストのヌーノ・ベッテンコートの非凡な才能が際立つ内容となっています。

アルバムは「Little Girls」で幕を開けます。軽快なリズムとエッジの効いたギターリフが特徴のこの曲は、エクストリームの特徴であるファンクメタルのエッセンスを早速感じさせる楽曲です。ゲイリー・シェローンの力強いボーカルも、バンドのサウンドに独自のキャラクターを与えています。

次の「Wind Me Up」では、ベッテンコートのギタープレイがさらに際立ちます。彼の速弾きとリズムギターは非常にタイトで、バンド全体の演奏も高い完成度を誇ります。この曲は、エクストリームが単なるグラムメタルバンドとは異なることを示す、ファンクとロックの融合が見られる典型的な例です。

アルバムのハイライトの一つ「Play With Me」は、ヌーノ・ベッテンコートのギターソロが圧巻の一曲です。この曲は、彼のギタープレイがテクニカルでありながらもメロディアスであることを示しており、彼のギターリフとソロがバンドのサウンドを強力に牽引しています。この曲は『ビルとテッドの大冒険』のサウンドトラックにも採用され、バンドの知名度を一気に高めました。

「Watching, Waiting」では、エクストリームのバラードセンスが光ります。シェローンのボーカルが感情的に響き、ヌーノの繊細なギターワークが曲を引き立てています。エクストリームがただのハードロックバンドではなく、メロディに対する深い理解を持っていることを感じさせる楽曲です。後の「More Than Words」といったヒットバラードの前兆とも言える一曲です。

一方で、アップテンポな「Mutha (Don’t Wanna Go to School Today)」は、バンドのエネルギッシュで若々しい一面を表現しています。この楽曲は、キャッチーなメロディとノリの良いリズムが特徴で、青春の反抗心をテーマにしています。エクストリームのエッジの効いたロックサウンドを楽しめる一曲です。

全体として、『エクストリーム』は、ハードロックとファンクを融合させた独自のサウンドで、当時のロックシーンに新鮮な風を吹き込みました。特に、ヌーノ・ベッテンコートの非凡なギター技術と、ゲイリー・シェローンのカリスマ的なボーカルがこのアルバムを際立たせています。エクストリームの未来の成功を予感させる、エネルギッシュで大胆なデビュー作です。

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