『ポイズン・ダメージ』
ポイズン
ポイズンのデビューアルバム『ルック・ホワット・ザ・キャット・ドラッグド・イン(Look What the Cat Dragged In)』(1986年)は、80年代のグラムメタルシーンを象徴する作品の一つです。ポップな要素とキャッチーなメロディ、そして派手なルックスで一躍スターダムにのし上がったポイズンは、このアルバムによってその存在を強烈に印象付けました。セクシーで遊び心に溢れた歌詞や、勢いのある演奏が詰まったこの作品は、当時のロサンゼルスのサンセット・ストリップの盛り上がりをそのままパッケージ化したようなアルバムです。
オープニングトラック「Cry Tough」は、夢を追い求める若者の野心と情熱を象徴するような楽曲で、明るいメロディとともにアルバムのトーンを一気に引き上げます。ブレット・マイケルズのシンプルでありながらエモーショナルなボーカルスタイルは、彼が生み出すポジティブなエネルギーをダイレクトに感じさせ、特にコーラス部分では一緒に口ずさみたくなるような親しみやすさを持っています。
続く「I Want Action」や「Talk Dirty to Me」などのシングルは、彼らの代表曲となり、アルバムのハイライトです。「Talk Dirty to Me」は、明快なリフとキャッチーなメロディが特徴で、ポイズンらしい遊び心とエネルギーに満ちています。この曲がヒットしたことにより、ポイズンは一躍メインストリームのロックシーンに登場し、彼らの派手なビジュアルやパフォーマンスも手伝って、グラムメタルの人気をさらに押し上げました。
「I Want Action」では、無邪気なまでに楽観的で奔放なライフスタイルを賛美する歌詞とともに、ポイズンらしいノリの良さが炸裂しています。派手なギターソロとブリッジ部分のキャッチーな展開は、当時の若者に向けた軽快でエネルギッシュなロックの象徴です。また、CC・デヴィルのギターは、シンプルながらも印象的で、アルバム全体を通じて楽曲に鋭さと輝きを加えています。
一方で、バラードの「I Won’t Forget You」は、アルバムに若干の感情的な深みを与えており、シンプルでありながら心に響くメロディが印象的です。ポイズンは基本的にパーティーロックバンドとして知られていますが、この曲では彼らが抒情的な一面も持っていることを示しており、ブレット・マイケルズの歌唱が特に際立っています。
『ルック・ホワット・ザ・キャット・ドラッグド・イン』は、その楽曲のシンプルさとエネルギッシュなスタイルによって、多くのロックファンに受け入れられました。プロダクションはやや粗削りな部分もありますが、それがかえってこのアルバムの「生々しさ」や「ライブ感」を強調しており、聴く者を当時の活気に満ちたLAのロックシーンへと引き込む力を持っています。特に、ドラムスとベースのタイトなリズムセクションは、楽曲のスピード感を支え、勢いを与えています。
このアルバムが特に評価される理由は、ポイズンのサウンドが持つ「楽しさ」と「キャッチーさ」です。歌詞は深く考えさせるものではなく、むしろ人生を楽しむことや、恋愛やパーティーといったテーマを軽快に扱っています。それが若者たちにとっての「現実逃避」的な要素を提供し、時代を超えても愛される理由の一つとなっています。
総じて、『ルック・ホワット・ザ・キャット・ドラッグド・イン』は、ポイズンを一躍スターに押し上げたデビュー作であり、80年代のグラムメタルのエッセンスを完璧に表現しています。華やかでキャッチーなメロディと、奔放で自由な精神が詰まったこのアルバムは、グラムメタルファンにとっては今もなお必聴の一枚です。ポイズンの持つ「楽しむことを忘れない」精神が、このアルバム全体に溢れており、当時のロックシーンに大きなインパクトを与えました。
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