『ニュー・タトゥー』
モトリー・クルー
モトリー・クルーの2000年のアルバム『ニュー・タトゥー (New Tattoo)』は、彼らが原点回帰を図った作品として評価されています。このアルバムは、1990年代の実験的なサウンドを持った『モトリー・クルー』や『ジェネレーション・スワイン』から一転し、1980年代のグラムメタル時代に見られたシンプルでパワフルなロックサウンドに戻った作品です。バンドは、従来のファンに向けたハードロックを中心とした楽曲を集め、特に初期の代表作である『シャウト・アット・ザ・デヴィル』や『ドクター・フィールグッド』のエネルギッシュな雰囲気を感じさせるアルバムとなっています。
アルバムのタイトル曲「New Tattoo」は、キャッチーでありながらハードなエッジを持つ典型的なモトリー・クルーのナンバーです。歌詞はバンドの荒れたライフスタイルや象徴的なモチーフに満ちており、特に80年代の雰囲気を思い起こさせます。ヴィンス・ニールのボーカルはこの曲で特に力強く響き、バンドの「悪ガキ」的な魅力が全開です。
「Hell on High Heels」はシングルとしてもリリースされた楽曲で、アルバムの中でも特にキャッチーなメロディを持っています。この曲は、グラムメタルの時代に戻ったかのような派手なギターリフとセクシーな雰囲気を持ち、特にライブでの盛り上がりを意識した作りが特徴です。ミック・マーズのギターはこれまで通り鋭く、バンドのサウンドに重厚感を与えています。
「Treat Me Like the Dog I Am」は、ヴィンス・ニールのボーカルが印象的な楽曲で、彼の荒々しいボーカルスタイルが際立つ一曲です。歌詞は典型的なロックンロールの反抗心とエッジを感じさせ、シンプルながらも力強いエネルギーに満ちています。この曲では、モトリー・クルーが再び原点に立ち返り、余計な装飾を排したストレートなロックを提供していることがよくわかります。
バラード「Fake」は、アルバムの中でも異彩を放つ一曲です。この曲は感情的な深みを持ち、バンドが持つ柔らかな一面を垣間見ることができます。バラードではありますが、ヘヴィで力強いサウンドも保たれており、メロディアスなギターワークが特徴です。ヴィンス・ニールの感情的なボーカルが曲を引き立て、リスナーにインパクトを与えるバラードに仕上がっています。
アルバム全体を通して、『ニュー・タトゥー』は、モトリー・クルーが過去のサウンドに立ち戻り、彼らのアイデンティティを再確認するために制作されたことが感じられます。プロデューサーのマイク・クリンク(ガンズ・アンド・ローゼズの『アペタイト・フォー・ディストラクション』を手掛けた)が関わっていることもあり、アルバムの音質や演奏は非常にタイトでプロフェッショナルに仕上がっています。全体的にキャッチーでエネルギッシュなハードロックが詰まっており、80年代のモトリー・クルーのファンには特に楽しめる内容となっています。
しかし、批評家やファンの間での評価は賛否両論です。一部のファンは、アルバムが過去の成功に頼りすぎていると感じ、新鮮さに欠けると指摘しました。特に、90年代に入ってからの音楽的な冒険を評価していた層にとっては、このアルバムは後退と感じられたかもしれません。一方で、バンドが原点に立ち戻り、従来のグラムメタルファンに向けたシンプルでハードなサウンドを提供したことは、多くのファンから歓迎されました。
総評として、『ニュー・タトゥー』は、モトリー・クルーが自らのルーツに立ち返り、彼ららしい派手でエネルギッシュなロックサウンドを再び披露した作品です。トミー・リーの不在やサウンドの刷新が感じられないという点で、一部のリスナーには物足りなさが残るかもしれませんが、グラムメタル時代のモトリー・クルーを愛するファンには、十分に満足できる内容と言えるでしょう。
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