【アルバム紹介】『アドレナライズ』(『Adrenalize』)

『アドレナライズ』
デフ・レパード

デフ・レパードの1992年リリースのアルバム『アドレナライズ(Adrenalize)』は、彼らにとって重要なターニングポイントとなる作品です。このアルバムは、1987年の大ヒット作『ヒステリア』に続くものとして期待されていただけでなく、ギタリストのスティーヴ・クラークが1991年に急逝した後、初めて発表された作品でもあります。そのため、バンドにとっては非常に困難な時期に制作されたアルバムでありながら、驚異的なエネルギーとポップな魅力を持つロック作品に仕上がっています。

『アドレナライズ』は、前作『ヒステリア』のポップな要素をさらに推し進め、キャッチーなメロディとアリーナロックのエネルギーが融合したアルバムです。ロバート・ジョン “マット” ラングが引き続きプロデューサーを務め、彼の特有の緻密なプロダクションスタイルがアルバム全体に息づいています。スティーヴ・クラークの不在という大きな変化があったものの、残されたメンバーは彼の未発表アイデアを元に楽曲を作り上げ、デフ・レパードの特徴的なサウンドを維持しつつ新たな一歩を踏み出しました。

アルバムを代表するシングル「Let’s Get Rocked」は、そのタイトル通り、シンプルでキャッチーなロックナンバーであり、軽快なリズムと明快な歌詞が印象的です。この曲は、MTV世代に向けた親しみやすい曲であり、デフ・レパードの持つエネルギーと楽しさを前面に押し出しています。シングルとしてもヒットし、特にアメリカでラジオやテレビを賑わせました。

続く「Make Love Like A Man」も、典型的なアリーナロックのアンセムであり、コーラス部分が大勢で一緒に歌えるような、ライブ向けの力強い楽曲です。シンプルでストレートなロックソングであり、ジョー・エリオットのボーカルがエネルギッシュに響きます。

「Have You Ever Needed Someone So Bad」は、アルバムのバラード的な一曲で、より感情的で抒情的な側面を見せています。この曲は、デフ・レパードが得意とするバラードで、メロディアスなギターワークとエモーショナルなボーカルが美しく絡み合い、ポップ感覚とロックのバランスが絶妙です。

他にも「Stand Up (Kick Love Into Motion)」や「Heaven Is」といった曲では、バンドのポップロックのセンスが全面に出ており、前作『ヒステリア』の遺産を継承しつつ、新しいサウンドへの挑戦も見られます。全体的に、スティーヴ・クラークの繊細で感情豊かなギターワークがフィル・コリンや他のメンバーによって引き継がれており、アルバム全体に緻密で充実したサウンドが展開されています。

商業的には、バンドにとって大成功を収めました。『アドレナライズ』は、リリース直後に全米チャート1位を獲得し、シングルも複数がチャートにランクインしました。この成功は、グランジやオルタナティブロックの台頭によって多くのハードロックバンドが苦戦する中で、デフ・レパードが依然として強力な存在であることを証明しました。

総じて、『アドレナライズ』は、デフ・レパードの音楽的な変遷と復活を象徴するアルバムです。スティーヴ・クラークの不在にもかかわらず、バンドは彼の精神を引き継ぎつつ、新たな時代に向けた楽曲を生み出しました。キャッチーなメロディ、パワフルなリフ、そしてポップ感覚が絶妙に融合したこの作品は、80年代から90年代への移行期におけるデフ・レパードの重要な作品であり、彼らの音楽的耐久性を示すアルバムでもあります。

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